あんこ好き・老ねことの思い出

 少し前、引っ越しを検討していた時、何軒もの新居候補を歩いて見て回りました。まだ入居者がいる所に案内され、管理会社の方と話をしていて、足元がふうううわああっ!としたのでびっくりすると、驚くほど美しい、ペルシャ猫さんが駆け抜けていったのでした。(留守番していたんですね)それがディズニー映画「おしゃれキャット」なみに素晴らしい真っ白な毛並みだったので、思わずあっけにとられて、見とれてしまいました。私の猫はもう何年も前に他界していましたが、同じ猫とは思えない、別の種の生き物のように思えたのです。
 その猫は、すさまじい毛色をしていました。トラ模様がパッチワーク状になって、ついでにヒョウ柄もちりばめてみました、といった感じに『ごたまぜ」で、何と表現したら良いのかわからない毛色でした。鋭い緑の目は油断なく周囲を監視し、学校から帰ってきた私のおやつを抜け目なくチェックしていたのです。
 それが和菓子であるとなると、ワイルドないつもの態度を一転させ、恐るべき猫なで声で(猫ですが…)にゃ~~ん!とすりよって来るのです。彼女はあんこが大好物でした。お饅頭やお餅の中に入っている、こしあんを私が取り分けてやるのが無上の喜びだったようです。そのわりにはおせんべいも好きで、要するに私と猫とはおやつの趣味が見事に同じだったのです。
 彼女は20年も生きて、あるあたたかい春の日に眠るように亡くなっていきました。すごい毛並みでしたし、粗相も多く悩まされましたが、私にとっての猫は彼女ひとりだけです。
 
 今でも、お饅頭の中身がこしあんであることに気づくたび、彼女のとってつけたような甘え声が響くようで、懐かしさに顔がほころびます。
 

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ